おだやかな日の光を受ける丘陵地帯、雪の地平線、夕日に染まる大地。まるで心象風景のような静寂。一見すると無国籍な風景のようにも見え、しかし郷愁を誘うようにも見える。それはたとえようもなく美しい。忘れがたいイメージの数々。
独特な作風で風景写真の世界に一時代を築いた巨匠前田真三による珠玉の作品約110点で展開いたします。
東京府南多摩郡恩方村(現東京都八王子市下恩方町)に生まれた前田真三(1922-1998)は、日本の風景写真の世界で頂点を極めた写真家として最も愛されている写真家です。
最初、2人の兄の影響で写真を始め、野鳥に熱中しました。海軍中尉としてスマトラ島サバンで終戦を迎え、復員後、日綿實業株式会社勤務中に写真熱が高揚し1967年に株式会社丹渓を設立、本格的に写真活動に入りました。日本列島縦断撮影行で美瑛・上富良野の丘陵地帯に日本の新しい風景を発見。その後、奥三河・上高地・吉野・室生などの風景を一指入魂の心で切り撮っていきました。1987年には作品を常設する写真美術館「拓真館」を開館し写真文化の普及と向上に貢献しました。現在でも入場者年間40万人を越える道央観光の拠点であり文化施設となっています。1996年には勲四等瑞宝章受賞。没後には日本写真協会賞文化振興賞を受賞いたしました。
前田真三氏のすべてを紹介する本展が、日本の多くの地で開催され、日本の自然の美しさを切り撮った前田真三氏の写真に掛ける情熱を感じ取っていただき、写真文化への理解がさらに深まることを祈念いたします。
前田真三
まえだ しんぞう 1922年生まれ。
総合商社マン時代に山歩きを始めると共にカメラ熱が高まり、1965年、17年勤めた会社を退職。2年後、額装写真のリースを目的とした(株)丹渓を設立。
45歳という異例に遅い写真家デビューとなった。1971年鹿児島県佐多岬から北海道宗谷岬まで、3か月をかけて列島縦断3万キロの撮影旅行を敢行。このとき北海道美瑛町・上富良野町一帯に、“新しい日本の風景”を発見する。1984年日本写真協会年度賞受賞。1986年、美瑛町の廃校になった小学校を改造し、フォトギャラリー「拓真館」を開設。美瑛の人気スポットとして、現在でも年中無休・無料で運営されている。
1996年勲四等瑞宝章受賞。1998年逝去、享年 76歳。
第1部 | 「出合の瞬間」 | 27枚 |
第2部 | 「丘の四季」 | 63枚 |
第3部 | 「ふるさとの四季」 | 27枚 |
略歴パネル | 1枚 | |
コーナー用タペストリー | 3枚 |
作品 額装サイズ | 510X700mm | 50枚 |
725X1000mm | 64枚 | |
1000X1250mm | 1枚 | |
1000X1450mm | 3枚 | |
計118枚 |